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しつけとは いつから始めて、何を子どもに教えるの

発達に個人差があることを理解した上で、しつけはおこなう

しつけの話をする前に、まず知って頂きたいことがあります。それは発達のワードで、乳幼児期の発達は個人差が大きく、同月齢の子どもを比較しても、発達状態に違いが生じます。

しつけをおこなう際は、子どもの発達に沿った関わりが基本とされています。育児中の方、しつけに関して悩まれている方、もしよろしければ、少しだけお付き合い下さい。

1. しつけとは

一般にしつけは「生活動作や礼儀作法、規律、規範等を教えること」とされており、社会化の第一歩と捉えることができます。又、厚生労働省の体罰等によらない子育ての推進に関する検討会による「しつけの定義」は

“しつけとは、子どもの人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為。子どもにしつけをするときには、子どもの発達しつつある能力に合う方法で行う必要がある”

と述べています。この中でポイントとなるのが「発達しつつある能力に合う方法で行う」の記載で、子どもの現状把握と当事者に沿った方法を用いることが、しつけに求められていると読み取れます。

本来、発達状態に幅がある乳幼児期のしつけは、一人ひとりの発達に沿った取り組みが望まれます。しかし現実は、月齢・年齢を目安とし過ぎる傾向が強く、子どもの状態が把握されずにいたり、発達状態と不一致な方法を教え込む様子がみられます。当事者の視点に立つと、できないことが繰り返され、その結果として苦手意識が植え付けられます。

参考資料:体罰等によらない子育てのために~ みんなで育児を支える社会に ~

https://www.mhlw.go.jp/content/000598146.pdf

2. しつけはいつから始める

さり気なく、常日頃からおこなわれている

保護者さんの中には、しつけを厳格なことと捉え、いつから始めれば良いか迷われる方がいるかもしれません。しかしご安心下さい。しつけは日々の生活で営まわれています。例えば、赤ちゃんと視線を交わす行為は、大人の視線を赤ちゃんが追従する共同注意へ繋がり、後に、ヒトが他者の気持ちを推測する機能へと発展します。又、判断を迷う時に用いる社会的参照(他者の表情や態度をみて意思決定)も日常的に育まれており、社会化の過程において必要な機能です。

3. 子どものしつけって何をすればいいの

3-1. 食事等を含めた日常生活動作

目に見えて分かりやすいしつけは、日常生活に関する動作ではないでしょうか。スプーンや箸の使い方だけでなく、多様な味に慣れることを目的とした食事。脱ぐ動作から始め、ボタンやファスナー等の細かな指先操作が求められる着脱。トイレで排尿することを理解するだけでなく、排便の処理を含めた自立が求めらえる排泄。その他、手洗いや荷物管理等も習得が望まれます。

日常生活動作について「なぜできないのか」理由を探る際、多くの方が、子どもの気持ちに目を向けてしまいます。しかし、見るべきポイントは「動作を理解しているか」「身体を適切に動かせているか」であり、お子さんができる箇所から始めることが大切です。取り組む箇所を限定し、できるようになったら少しずつ範囲を広げて、一つの動作を完成させると良いでしょう。その他、使いやすい道具を用意して、無理なく適切な動きを身に付ける配慮も有効です。

3-2. 簡単なルールや約束事

「いただきます」の挨拶をしたり、自分の玩具を片付けたり、順番を守って遊具で遊ぶことは、一般的な約束事です。又、大人が子どもに向けて「少し待ってね」と言う言葉掛けは、初期に身に付けるべき約束事と考えていいかもしれません。ルールや約束事は、規則や法律と違い明確な定めがなく、各家庭で決まりごとが異なる特徴を持ちます。例としては、言葉遣い、生活リズム等が挙げられます。

ルールや約束事を身に付ける上で留意する点は、お子さんがルールや約束事を理解できるか否かです。発達が幼い状態の時は、短い言葉で約束事を教えつつ、保護者さんが行動で示したり、一緒におこなうことが好ましいです。口頭のみで理解できる段階になれば、一言理由を添えて、ルールを教えます。複雑な約束事を教える際は、絵や文字を交えて伝えると、理解しやすいです。

3-3. 社会生活で欠かせない道徳性及び、自己統制

身近な道徳性として、生き物を大切したり、友達を思いやる等が挙げられます。自己統制には、人を叩かない、他人の物を捕らない、適度な我慢する等が知られています。道徳や自己統制の育みは難しく、先天的なお子さん自身の気質と後天的な家庭環境等が影響を及ぼし、同様なしつけを兄弟・姉妹におこなっても、同じ結果にはなりません。

発達初期の道徳や自己統制は、知識と深い関係を持ちます。基盤を育む際、まずはお子さん自身の行為や出来事について、保護者さんが感じたこと(嬉しいね、楽しいね、悲しいね、嫌だね)を子どもに語り掛けて下さい。子どもが、大人の表情や言葉掛けから禁止等を理解できる段階となったら、達成可能な範囲で抑制する機会を設けて下さい。その後は、子どもの知識に沿って「良し・悪しを問う場面」を与え、お子さん自身が判断する環境として下さい。

子どもは大人と比べて自己統制が不得意であり、養育者は子どもの不適切な行動に対して、注意や叱る手段を用いることがあるはずです。その際、養育者は一方的に責め立てず、当事者の言い分を丁寧に聞き入れて下さい。子どもは対話する過程から、思いを言葉で伝えるようになり、言葉を用いることで自己を統制するようになります。

4. 入園までに望まれること

日常生活動作は日々の積み重ねで成立する為、お子さんの発達状態に沿ったアプローチを継続して下さい。尚、0~2歳児が保育所等に入所する際、生活動作の習得状況に個人差があって当然です。その時は、お子さんの現状をありのまま、先生方に話して下さい。

ルールや約束事は、幼稚園等の利用を機に、その園に応じたものを先生方が指導されるはずです。指導を受ける前提として、保護者さんの見守り(視線を向ける)を受けて一人で遊べたり、椅子に座って過ごせる習慣があると好ましいです。

教育現場が最も気に掛ける点は、道徳性や自己統制です。幼稚園や保育所等は子ども達が多数集まる社会であり、社会に出てから身に付けるのではなく、社会へ出る前に基盤を築いて下さい。兄弟・姉妹の構成でお子さんがいる養育者の方、末っ子が優遇され過ぎていませんか。自己統制を得意としないお子さんがいる保護者の方、子どもが癇癪を起こした際、静かに間を取り、落ち着かせる行為を省略していませんか。子どもが困っている時は、子どものペースに合わせることで、気持ちに折り合いをつけやすくなります。

5. 叩く等の体罰を含めた虐待について

令和元年の児童虐待防止法改定で「親権者等による体罰の禁止」が盛り込まれることとなりました。今までは、しつけと称した体罰を見過ごす向きもありましたが、今後は法に沿った対応が求められます。ちなみに体罰の定義は、国連児童の権利委員会の一般的意見によると

“「体」罰を、有形力が用いられ、かつ、どんなに軽いものであっても何らかの苦痛または不快感を引き起こすことを意図した罰”

として、子どもを叩く行為だけでなく、不快な姿勢を維持させたり、無理やり口に物を入れること等も該当しうるとしています。児童虐待防止法には【身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待】が定義されており、体罰は身体的虐待及び、心理的虐待に該当する可能性があります。

不適切な方法でのしつけは、圧力であり、子どもの不安状態を引き起こす要因となります。重篤なケースでは親子関係の破綻に繋がるので、注意して下さい。

参考資料:子どもの権利委員会 一般的意見8号 体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/child_gc_ja_08.pdf

しつけが上手くできないと感じたら

しつけについて、養育者の方が不安や戸惑いを感じた時は、身近なパートナーや周囲の方へ「愚痴」をこぼして下さい。困りごとを共有してくれる他者がいることで、不安は幾分解消されるはずです。より専門的な相談を希望される方は、各市区町村の「子育て支援センター」や県の「電話相談窓口」等を気軽に利用して下さい。全ての相談員が適切な助言をできるとは言い切れませんが、第3者が介入することで、保護者さんの視点とは異なる見方をすることが可能です。

最後となりますが、しつけに上手い、上手くないはありません。もしも悩んだ時は「一人で抱え込まない」ことを忘れないで下さい。

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