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児童発達支援とは 放課後等デイサービスとの違い

児童発達支援の事業所数は、概ね全国に7,315あります。

参考資料:厚生労働省統計情報「障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について」令和2年6月の情報より

児童発達支援は、未就学児の発達を支援する事業であり、児童福祉法第六条の二の二に記された障害児通所支援の一つです。

お子さん達は、保護者同伴か分離の形態で事業所に通い、心身の機能を向上させ、生活する上で必要な動作を習得し、社会性を高めます。利用を求める際は、各市区町村の相談窓口を経て、利用可否が決定されます。その後は、希望する事業所と契約を結ぶことで、利用開始となります。

1. 児童発達支援とは

1-1. 児童発達支援の概要

①法律等:児童福祉法 厚生労働省

②方針:日常生活で使用する基本的動作知識技能の習得、集団生活への適応を促進します。指導や訓練は、対象児童の身体・精神の状況、置かれている環境に応じて、適切かつ効果的におこないます。

③対象:身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病に該当する未就学の児童。発達支援を必要とする未就学児も利用可能。

④発達を支援する領域:「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言葉・コミュニケーション」「人間関係・社会性」

⑤設備特徴:指導訓練室が必置で、床面積は子ども一人当たり2.47㎡(約1.35畳)。児童発達支援センターは、遊戯室、屋外遊戯場(代替地可)、医務室、相談室、調理室も必要。

⑥1日の利用定員:10名以上。重症心身障害児が主な場合は5名以上。

⑦支援する従業者の数:児童10名までなら最低従業者数は2名で、従業者を加配することも可能。

⑧主な従業者の構成:管理者、児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士。機能訓練をおこなう場合は、機能訓練担当の職員。児童発達支援センターは、嘱託医、栄養士、調理師も必要。重症心身障害児が主な場合は、嘱託医、看護職員、機能訓練担当職員が必要。

利用者数:令和2年6月の児童発達支援利用者(延べ人数) 106,523人

1-2. 児童発達支援の運営者と児童発達支援センターの位置付け

児童発達支援の運営者は、市区町村、又は法人格を有していることが条件となり、主な法人として、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、社団法人、株式会社等が挙げられます。法人格に違いはあるものの、各事業者は設立基準を満たし、承認を得た上で、運営しています。

児童発達支援の中には、地域の中核となる児童発達支援センターに該当する事業所があります。センターの役割りは、利用児童に対する発達支援だけでなく、地域ネットワークの中心者として関係機関と連携を図ることや、巡回指導等による発達支援の推進が求めらています。センターの主な運営者は、市区町村、規模が大きい社会福祉法人や医療法人等となっています。

尚、児童発達支援を管轄するのは、事業所の所在地がある各都道府県(一部の地域では市が管轄)です。利用児童に対して虐待等が疑われる際の、相談窓口でもあります。

1-3. 児童発達支援計画について

児童発達支援では、一人ひとりの利用児に対して、支援のあり方や支援内容を記した「児童発達支援計画」の作成が義務付けられています。

手順としては、まず最初にアセスメントと呼ばれる作業がおこなわれ、発達状態や障害特性の把握、成育歴や家庭環境等の情報収集がされます。並びに、利用ニーズも確認され、保護者さんだけでなく、本人の意思(未就学児の意思確認は、非常に難しいアプローチです)も確認されることとなっています。

次いで、児童発達支援計画の立案に進み、本人やご家族のニーズに沿いつつ、アセスメントを踏まえた具体的な支援の詳細や、支援の達成時期等を盛り込んだ計画案が作られます。保護者さんは、事業所より計画案の説明を受け、適切であれば同意をする流れとなります。

同意を得た支援計画に沿って支援は実施され、その後、定期的に支援の評価がおこなわれ、評価を基に支援計画が見直しされます。評価は、客観的な評価が理想とされる反面、客観的な指標が定義されていないので、支援の記録を残し、子どもの様子(行動)を的確に捉えることで、判断されます。

参考までに、幼稚園や保育所等では、特別な配慮を必要とする児童や3歳未満児に対して、個別支援計画を作成することとなっています。

1-4. 家族支援と地域支援

児童発達支援には、本人支援だけでなく、家族支援と地域支援の役割りが求められています。

利用児童の身近な存在が対象となる家族支援では、定期的な個別面談を通じて、助言や情報供給等がおこなわれています。又、ニーズがある時は、その都度、相談機会を得ることも可能です。児童発達支援センターでは、家族を対象とした心理教育や、必要な技法の講習等も実施されています。

地域支援としては、市区町村、保健所、幼稚園や保育所等と、電話や書面等で連携を図っています。又、詳細な共通認識を必要とする児童に関しては、関係機関を集めたケース会議が開催されることもあります。その他、定期的におこなわれる会議等に参加して、地域ネットワークの構築や活性化に励んでいます。

2. 1日のタイムスケジュール

児童発達支援の利用時間(サービス提供時間)は、各事業所で設定している時間が違います。地域の中核を担う児童発達支援センターでは、昼飯を挟んだタイムスケジュールが基本となっているはずです。一般的な児童発達支援では、利用時間を1時間と限定している事業所がある一方、昼食を設けて運営している所もあります。下記に、児童発達支援のタイムスケジュールと活動プログラムの例を載せておきます。

児童発達支援のタイムスケジュール(例)

タイムテーブル

活動プログラム

09:30~09:50

登所、身支度(生活動作の獲得)

10:00~10:15

朝の会(集団への参加)

10:15~11:00

集団での活動(姿勢、運動や動作の向上)

11:15~11:45

個人に沿った活動(コミュニケーションや概念の習得)

12:00~13:00

昼飯(生活動作の獲得)

13:15~13:45

帰りの身支度、降所(生活動作の獲得)

3. ねらいや内容の特徴

幼稚園や保育所と比較して、発達支援特有の記述となっている

幼稚園や保育所等の基本事項を示す幼稚園教育要領や保育所保育指針には、教育や保育の目標を具体化した「ねらい」及び「内容」が記されています。ねらいは「健康」「言葉」「表現」「人間関係」「環境」と呼ばれる領域に分けられており、各領域のねらいと内容を踏まえた上で、各園は活動を取り組んでいます。

児童発達支援のねらいと支援内容は、厚労省が策定した児童発達支援ガイドラインに示され、ねらいは「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の領域に分けられています。下記に、特徴的な支援内容を抜粋しておきますが、幼保の世界では聞きなれない用語が使われており、発達支援支援特有の支援が求められています。

児童発達支援でおこなう特徴的な支援内容 

健康・生活では「リハビリテーションの実施、構造化等による生活環境の整備等」が示されています。

運動・感覚では「姿勢保持と運動・動作の補助的手段活用、移動能力の向上、感覚特性への対応」が示されています。

認知・行動では「概念の形成、認知の偏りへの対応、行動障害への予防等」が示されています。

言語・コミュニケーションでは「受容言語と表出言語の支援、相互作用によるコミュニケーション能力の獲得、指差しや身振り等の活用、コミュニケーション機器や代替コミュニケーション手段の活用」が示されています。

人間関係・社会性では「模倣行動の支援、自己コントロールの支援、集団参加への支援」が示されています。

4. 児童発達支援の課題

支援の質が問われている

平成24年の児童福祉法改定を受けて誕生した児童発達支援は、支援の質について、担保されているとは言い難い事業です。支援の質を確保するために、厚生労働省は「児童発達支援ガイドライン」を策定しているものの、各事業者が、どの程度ガイドラインを読み込めているか不透明です。ここでは、改善が必要とされる支援計画と従業者について、少しだけ触れさせていただきます。

支援計画について:児童発達支援計画の作成を、場当たり的におこなっている可能性があります。場当たり的となる要因として、支援計画には定期的な見直し義務(概ね6ケ月に1回以上)があり、義務を達成することのみに追われている事業者が存在します。又、支援計画を作成する児童発達支援管理責任者の知識不足等から、具体的な支援を明確化できず、曖昧な記述をする例もみられます。

従事者の育成:直接支援をおこなう従事者に関して、適切な知識や技術を身に付けている保証がされていません。従事者の一人である児童指導員は、大学等において、障害に関する単位を未修得でも、資格要件を満たせます。又、保育士に関しても、必要最低限の単位を修得しているものの、障害児通所支援施設等での実習は必修となっていません。各従事者は、支援の現場や研修等で知識や技術を向上させることとなりますが、適切な支援を提供できるまでに時間を要します。無論、従事者の育成はどの業種でも課題となりますが、何らかの理由があって発達支援を利用する児童にとっては、幼児教育や保育と異なる専門的な支援が供給されるべきです。

5. 児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

放課後等デイサービスの対象は就学児

冒頭で述べたように、児童発達支援は障害児通所支援に属しており、このグループには、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援と呼ばれるものがあります。

放課後等デイサービスは、6歳から18歳までの就学児(一部例外あり)が利用する事業であり、児童発達支援と対象者が異なります。サービスの提供は、学校を終えた後や夏休み等の休業日で、児童の発達支援だけでなく、社会交流の場所であることが求めらています。社会交流では、友達と関わる機会を得るだけに留まらず、関わる際に必要とされる対人スキルの向上が期待されています。

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