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不登校の原因 現状や対応を知る

不登校は、誰にでも起こりうる身近なことです

小中学校の不登校者数は、令和元年公表「平成30年度調査結果」において164,528人、全児童生徒の1.7%となっています。

当事者を「無理に登校させること」が好ましくないのは、ご存知かもしれません。では一体、どうすればいいのでしょうか。

ここでは、相談や対応を考えてくれる機関等を取り上げるだけでなく、不登校の原因を考えました。

不登校の原因

1. 不登校等の現状

平成30年度時点の文部科学省調査より

1-1. 不登校等を含めた長期欠席者数と内訳

小学校長期欠席者数:84,033人(在籍児童数の1.3%)

病気等:23,340人(27.8%)

経済的理由:15人(0.0%) 

不登校:44,841人(53.4%)

その他:15,837人(18.8%)

中学校の長期欠席者数:156,006人(在籍生徒数の4.8%)

病気等:26,284人(16.8%)

経済的理由:9人(0.0%)

不登校:119,687人(76.7%)

その他:10,026人(6.4%)

高等学校の長期欠席者数:80,752人(在籍生徒数の2.5%)

病気等:15,812人(19.6%)

経済的理由:764人(0.9%)

不登校:52,723人(65.3%)

その他:11,453人(14.2%)

1-2. 不登校の要因(調査の上位項目)

人間関係に課題を抱えるケース:いじめ、友人関係、教職員との関係

あそび・非行傾向のケース:学校のきまり等をめぐる問題

無気力傾向のケース:学業不振、進路不安、家庭に係わる状況

不安傾向のケース:友人関係、学業不振、進路不安、クラブ・部活動への不適応、入学・転入・進級時の不適応、該当なし

その他のケース:家庭に係わる状況、該当なし

補足:本人に係わる要因から分類した不登校児童数

不登校児童生徒数を要因別に分類

1-3. 不登校児童生徒への指導結果

指導を受け、登校する。又は、できるようになった小学生:12,019人(不登校児童数の26.8%)

指導を受け、登校する。又は、できるようになった中学生:31,601人(不登校児童数の26.4%)

補足:不登校児童生徒が相談・指導を受けた実人数

不登校時に相談・指導を受けた実人数

1-4. 学校外機関等で相談や指導を受け、出席扱いとした児童生徒数

学校外機関等による相談・指導より、出席扱いとした小学生:5,148人

学校外機関等による相談・指導より、出席扱いとした中学生:18,046人

学校外の機関種類:教育支援センター、教育委員会所管の機関、児童相談所・福祉事務所、保健所、精神保健福祉センター、病院・診療所、民間団体・民間施設、他の機関。

補足:不登校時に相談・指導等を受けた機関等

不登校時に相談・指導を受けた機関等

1-5. 不登校に対する学校等の取り組み

①学校長をリーダーに置いて学校全体で支援をおこないます。カウンセラー・ソーシャルワーカー等の専門家と、支援の連携や分担する体制「チーム学校」を整備しています。

②個人のプライバシー保護、不登校児童生徒や保護者の意思を尊重しつつ、状況の把握をします。また「児童生徒理解・教育支援シート」を有効活用し、組織的・計画的に支援します。

③不登校児童生徒が登校してきた時は、保健室、相談室、学校図書館等を有効に活用し、安心して生活ができるよう、状況に応じた支援をおこないます。

④いじめられている児童生徒の緊急避難としての欠席は認められてもよく、学習に支障がないよう配慮します。

⑤いじめ・教員の体罰や暴言等での不登校に対しては、本人や保護者の希望によっては、学級替え・転校が認められます。

⑥保護者等からは学習の遅れに対して、進級時の補充指導、進級・卒業の留保に関する、要望がおこなえます。

1-6. 教育の機会を確保する法律

平成29年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が施行されました。目的は不登校の児童・生徒や教育を受けていない者に対して「教育機会確保、就学機会の提供、普通教育に相当する教育の確保等」を推進することにあります。

1-7. 公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の出欠の取扱い

学校外の施設で相談・指導を受けた児童に対して、一定の要件を満たす場合、相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができます。

当該施設への通所や入所が、学校への復帰を前提とし、児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断される場合です。

出欠の取り扱いに関する主な要件

該当施設は、教育委員会等が設置する【教育支援センター等の公的機関】とする。

但し、公的機関に通うことが困難で、本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は【民間の相談・指導施設】も考慮されてよい。尚、相談・指導が児童生徒にとって適切であるかは、校長が教育委員会と連携をとって判断する。

当該施設に通所、又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とする。

2. 不登校の相談・対応機関等

不登校時に相談や活用できる施設等

教育支援センター

フリースクール等

ICTの活用

特例校に転学

夜間中学校に転学

2-1. 教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センターは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等の為の、相談や適応指導をおこなうことにより、学校への復帰を支援し、不登校児童生徒の社会的自立に資することを、基本的な目的としています。

平成30年度時点

教育支援センター数:都道府県設置28か所、市町村設置1,421か所

指導を受けた人数:小学生4,660人、中学生15,094人

出席扱いの人数:小学生3,403人、中学生13,294人

活動内容:教科学習の指導、体験活動(自然・社会体験等)、グループ活動(調理実習、軽スポーツ等)、カウンセリング等。

※不登校の家庭へ、訪問指導も実施しています。

2-2. フリースクール等の民間施設

フリースクールとは、不登校の子どもに対して、学習・体験活動、教育相談等をおこなっている民間の施設です。

平成27年度調査でのフリースクール等数:474か所

運営団体:特定非営利活動法人、任意団体、個人、一般社団法人等。

在籍者数:小学生1,833人(出席扱いの割合52.9%)

在籍者数:中学生2,363人(出席扱いの割合58.1%)

活動内容:個別学習、社会・自然体験、調理、芸術、スポーツ。相談、カウンセリング。

会費等:平均額は約33,000円

【民間施設についてのガイドライン(試案)】が文部科学省より示されており、利用時の参考となる留意点の目安が記されています。

2-3. ICT等を活用した学習活動をおこなった場合の出欠取扱い

ICT等での学習について、学校長は、学校への復帰に向けての取組であることを前提とし、不登校児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断する場合に、指導要録上出席扱いとすること、及びその成果を評価に反映することができます。

※出席扱いの判断基準について。 児童生徒の状況や学校、地域の実態が違うため、文部科学省から一律の基準を示すことはしていません

学習活動例:民間業者が提供するICT教材を活用した学習、パソコンで個別学習できるシステムを活用した学習、教育支援センター作成のICT教材を活用した学習、学校のプリントや通信教育を活用した学習、ICT 機器を活用し、在籍校の授業を自宅に配信して行う学習(同時双方向型授業配信やオンデマンド型授業配信)

平成30年度におけるICT等を活用した出席扱いの児童生徒数:小学生88人、中学生198人

出席扱い等の要件

ICT等を活用した学習活動とは、ICT(コンピュータやインターネット、遠隔教育システム等)や郵送、FAX等を活用して提供される学習活動であること。

訪問等による対面指導(在籍校の教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等)が、適切におこなわれることを前提とすること。

学習活動は、児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラム(学年や個々の学習の理解の程度に応じたもので、ある程度長期的な計画が望ましい)であること。なお、学習活動を提供するのが民間事業者である場合には「民間施設についてのガイドライン(試案)」を参考として、児童生徒にとって適切であるかどうか判断すること。

IT等を活用した学習活動を出席扱いとは、基本的に児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合であること。対面指導がおこなわれていることを前提とする。

2-4. 特例校

特例校とは、不登校の児童生徒を対象とし、実態に配慮した【特別の教育課程】を編成することができる学校です。

特別の教育課程:施行規則の定めにかかわらず編成される教育課程。学習状況にあわせた少人数指導や習熟度別指導、個々の児童生徒の実態に即した支援(家庭訪問や保護者への支援等)、学校外の学習プログラムの積極的な活用等。

令和3年時点の特例校数:17校

学校種別の内訳:小学校1校、小学校・中学校の併設校2校、中学校11校、高等学校3校

都道府県別の内訳:東京都7校、京都府2校、岐阜県2校、北海道・神奈川県・愛知県・奈良県・鹿児島県は各1校

2-5. 夜間中学校(公立中学校の夜間学級)

夜間中学校とは、戦後、昼間に就労又は家事手伝い等をおこなう生徒が多くいたことから、義務教育の機会を提供することを目的して設置された学校です。

【義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律等】が施行されて、文部科学省は各都道府県に少なくとも1校は設置できるよう推進していますが、各都道府県の回答は半数以上が設置予定なしとしています。

昼間の中学校と同じ公立中学校で、週5回の授業、教員免許を取得者が指導します。

現状は日本国籍を有しない方が8割を占め、年齢は15歳~90歳以上までと幅広い層の方が学ばれています。また卒業者の半数近くが進学をしています。

令和元年年時点の夜間中学校数:9都道府県33校

平成29年時点の夜間中学校生徒数:第1学年289人、第2学年521人、第3学年877人

平成29年時点の夜間中学校年齢別生徒数:学齢期0人、15~19歳342人、それ以上1,345人

3. 不登校の原因を考える

誰にでも起こる人間関係の難しさ

不登校の原因に、人間関係のこじれがあります。大人の世界は、人間関係がこじれた際、相手と距離を取ったり、関わりを持たない等の対応が取りやすいです。一方、クラス単位で過ごす学校生活は、構造上、避けて通れない場面が多く発生します。次第に児童は追い詰められ、最終的な逃げ道として不登校へ繋がります。

補足として、日本の教育は幼児期から「誰とでも仲良く」の思想が強く、本来必要な「人と適切に関わる」指導が育まれていません。友達を含めた他者との関係は、自分に合った距離感を学ぶべきです。

いじめは、閉鎖された環境で起こりやすい

各学校は「開かれた学校作り」に努めており、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部専門家を招いて、対応を取っています。しかし実情は、日常的に立ちいる人が少ない閉じられた空間となっています。

その為、児童生徒達を見守る目は少数に限定され、実態の把握に限界が生じています。不登校の原因となる暴力等を含めた「いじめ」は、閉ざされた空間で起こりやすく、同時に発見や対応が遅れます。

学校に行く理由がない。無気力さ

不登校の当事者は「学校教育を必要と感じない」「他者と同じ学びをするのに違和感を覚える」等の言葉を述べ、自分の現状に疑問を感じている状態です。

疑問に対しては、なんらかの手段を用いて解決することが望ましい反面、解決手段が見当たらないことがあるのも現実です。

大人の場合は、割り切ったり、紛らわして、その状況が通り過ぎるのを待てます。しかし、児童の場合は、心理面の発達が未熟な為、結果として不登校の手段をとってしまいます。

補足:割り切ったり、紛らわすことの不得意さは、純粋であると捉えることもできます。

授業についていけいない学業不振

学業不振は、不登校を引き起こす要因の一つです。授業は、学年が上がるにつれて難易度が高まり、基礎を積み重ねないと理解できない教科が多くなります。

あるタイミングで分からない状態に陥ると、そこから躓きは増し、授業を苦痛と感じたり学ぶ意欲さが減り、不登校へ発展しかねません。

一度覚えた不安は、簡単に消せない

不安を原因とする不登校は、人間関係だけでなく、部活動の不適応、入学・転入等の環境変換がきっかけとなって起こります。

発達障害の児童の中に、不安を過度に感じる人がいます。不安は一旦覚えてしまうと拭うことが難しく、類似した状況に遭遇すると、記憶の再現や身体反応を引き起こす場合があります。強い不安は、発汗や赤面だけでなく、動悸や震え等の症状を表すかもしれません。

不登校から改めて学校通いを試みるケースでは、他者の視線を気にするあまり不安が生じます。日本特有の文化に影響を受けている私達は、全く知らない他者よりも、知っている人間の視線を強く気にします。

4. 不登校への配慮や対応

好きで不登校をしている当事者は多くない

最初はなんらかの要因が重り不登校を始めますが、次第に不登校をしている理由が自分でも曖昧となります。

当事者の多くは、学校へ行かないことに後ろめたさを感じ、状況を改善したいと考えます。一方、解決手段を見つけられず現状維持が続いたり、手段を試みても強い不安がよぎり、断念してしまいます。

お子さんが不登校になった際は、重篤な病気にならない為の休養と捉えましょう。

教育機会の場所に繋げる

不登校自体を問題と捉えてしまいますが、考えるべきポイントは【教育機会】の減少です。

自主学習を積み重ねて大学進学する例もありますが、当事者の強い意志、恵まれた環境、協力的な家族関係等が必要となり、それを家庭でおこなうには限界があります。

また教育を受けなくても、本人が望んだ職業に就けるかもしれませんが、それは一握りの人達です。

文部科学省が示す「多様な教育機会の確保」は、社会で学びの場を確保することが目的です。多様な学びの場には、不登校の経験がある当事者同士、整った学びの場、無気力さや不安等への対応を考えてくれる専門家が存在します。

不登校になった際は「自宅に引き込まらず、少しでも社会の場に出る」「学校の教科に限定せず、興味があることを学ぶ」「家族を含めて、人と関わりを保つ」ことの、どれか一つでも構わないので心掛けて下さい。

まずは当事者の気持ちに変化を起こす対応をします。その後、適した教育機会の場に繋げて下さい。

小学生の不登校は、迅速に対応する

小学生の不登校に対しては、人間関係の改善を試みたり、不安となる要因を取り除き、学校に行きやすくすることが有効です。

また、担任や学校職員の協力を得るだけでなく、可能な範囲で、当事者の友達に助けてもらう配慮を得ても良いのではないでしょうか。

中高生の不登校は、現実的な対応も選択肢に加える

中高生の不登校は、複数の要因が絡み合っている為、解決が困難な時点で転校(学びの場を変える)を選択肢に加えるべきです。学年や学期が変わる時期は、当事者にとって気持ちを切り替えやすいので、本人が望む場合は積極的に検討して下さい。

中学生活の数年間を不登校で過ごしている場合は、前向きに高校等の進学を提案しましょう。お子さんに話をする時は、出席日数が少なかったり、学力に心配があっても、受験できる学校があることを伝えて下さい。

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