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知的障害と発達障害の違い 知的能力の個人差を知る

知的障害の子どもは、支援を得ながら発達します

一般には知的障害の名称が知られており、以前は精神遅滞とも呼ばれていました。近年は【知的発達症】の名称も広がりをみせています。

症状の多くは、幼児期に気付かれます。障害程度は、知能検査等の結果、自立度や社会適応の状況を把握した上で総合的に判断されます。

彼らは、適切な教育を受けて、生活動作を習得し、理解ができる範囲で社会性を発揮します。

1. 知的障害と発達障害の違い

知的障害は症状、発達障害は総称

国際的な疾病分類において、知的障害(知的発達症)は、発達期に認められる脳機能を要因とした行動や認知機能の不全を指す「神経発達症群」に分類されます。

尚、神経発達症群には、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、発達性学習症、発達性協調運動症等が含まれています。

日本の発達障害者支援法では、自閉症やアスペルガー症候群その他の広汎性発達障害(現在の自閉スペクトラム症)、注意欠陥多動性障害、又は学習障害等を「発達障害」と定義しています。

知的障害が含まれていない背景として、この法律が定められる以前に、知的障害者の福祉向上を目的とした知的障害者福祉法が制定されていたからです。参考までに、知的障害者福祉法は1960年に、発達障害者支援法は2004年に定められています。

発達障害や神経発達症群は、特定のグループを表す総称です。知的障害、自閉スペクトラム症等は、各々の状態を示す症状です。

自閉スペクトラム症との併存について

知的障害を抱える方の中に、自閉スペクトラム症を併存している場合があります。

軽度や中等度の知的障害に該当しつつも、非言語コミュニケーション(表情理解等)に顕著な不得意さを見せたり、対人関係の築きや発展に興味を示さないケースがあります。

当事者を理解するには、知的能力がどの程度かを探るだけでなく、コミュニケーションや対人関係の様子を把握して下さい。

2. 知的障害の生活動作

箸を使えたり、フォークのみだったりと状態は異なる。でも一人で食べられる

知的障害の児童は、幼児期から学齢期にかけて食事動作を習得します。自分一人で食べられるようになるケースも、多々見受けられます。

使用する食具は、フォークやスプーンだけでなく、箸の操作を身に付ける子供もいます。

食べこぼし等は、自分で気付いて対応する児童もいます。一方、どう対応するべきかの判断が難しいお子さんもいます。

幼児期に着替えを習得する場合もあれば、学齢期を経て身に付ける児童がいる

着脱の脱ぐ動作は、比較的習得しやすいです。

ボタンやファスナー類は、個々の知的能力だけでなく、練習頻度に応じて習得状態が異なります。

重度のお子さん達は、衣類の前後理解、靴下履きの踵合わせ、ズボン内への下着入れ込み等が難しいです。声掛けを受けて整えたり、介助を得ています。

排泄の自立度は個人で違い、声掛けや介助を必要とする子供がいる

重度知的障害の排尿行為は、幼児期だけでなく学齢期を含めて身に付けていきます。排便も同様で、適切に拭く処理ができないケースでは、介助を受けています。

排泄意思の確認や時間誘導は、成人期に置いても必要とする方がいます。

重度の児童でも、大人のペースに合わせて歩けるようになる

移動について、危険認知が乏しい幼児期は、他者と手を繋いで歩くケースが多いです。

学齢期になると、歩くペースの安定や声掛けに反応できる為、一人歩行の練習を開始できます。その後は、知的能力と訓練次第で、不特定の他者とも行動が取れるようになります。

軽度な児童の生活動作

軽度な知的障害の子供は、幼児期の段階で生活動作に遅れを示さないかもしれません。ただし、少し不器用であったり、動作習得の歩みがゆっくりとしている可能性はあります。

3. 知的障害のコミュニケーション

会話は十分に成立するが、抽象的な話はちょっと難しい

軽度知的障害のお子さんは、自分の知っている言葉を使用して会話が楽しめます。

語彙数は、学校での学びや関心がある内容を中心に増え、冗談の理解もみられます。

「どんな」や「なぜ」を含んだ曖昧な問いかけに対しては、受け答えが不得意な傾向です。

発信できる単語は限られている。でも意思表示はおこなえる

中等度の子供達は、日常生活で頻繁に使用する言葉を理解していきます。

発語ができる児童は、挨拶や欲求等を身に付けるだけでなく、テレビ等で見聞きした言葉を発したり、身近な養育者の発言を真似します。

関わる側が豊かな表現を交えて話すことで、言葉の意図をなんとなく理解します。

声の抑揚・大きさ、表情やジャスチャー、視覚的手掛かりで関わりを持てる

重度知的障害の児童は、言語理解が難しく、物を提示されたり、対象物を指差しれることで指示が伝わりやすいです。

子供からの意思表示を読み解く際は、表情から「喜び」「怒り」「悲しみ」を、地団駄等の動作から「怒り」「欲求」の推測ができます。

表情理解がある児童に是非(良いこと悪いこと)を伝える際は、大人側が表情を交えると理解しやすいです。

4. 遊び・余暇について

楽しいと感じることの幅は、子供の持つ知的能力で異なる

軽度知的障害の児童は、アニメだけでなくバラエティー等の番組を楽しめ、番組選択もできます。高度な内容でなければ、集団でゲーム類をすることも可能です。

中等度のお子さんも、特定のキャラクターを気に入ることでテレビを見続けたり、知っている音楽が聴こえてくる番組に関心を向けられます。

重度の子供達は、音が鳴ったり、光が出たり、動きがある玩具を好む傾向です。ザラザラ、プニュプニュ等の触感を得られる玩具も好きで、自分のペースで遊べます。

公園での遊具遊びは、概ねの児童が好む一方、面白さが得れなかったり、怖さを感じる児童がいます。揺れに合わせて膝を協調させるブランコや、手足の運び位置を考えながらおこなうアスレチックは、体の動かし方を理解できないことから、遊びが難しい児童もいます。

水や砂、風が体感できる遊びは嬉しいし、口で感触を確かめたい

触覚に過敏さをみせないケースを除き、水、砂、風等は、子供達にとても好まれます。プールや砂場だけでなく、強風を受けたり、落ち葉踏み等は、非常に喜ばれる遊びです。

重度知的障害の児童は、学齢期以降も体感遊びへ関心を向け、手で触るだけでなく、感覚の鋭い口で確かめようともします。

成人期を視野に入れて、好きな遊びや余暇を育む

知的能力に障害がある子供の遊びは、一般と比べて未発達かもしれません。しかし、自分一人で余暇を楽しめることは、何よりも代えがたいものです。

最重度知的障害の子供は、好きな遊び、好みの余暇が見つけづらいかもしれません。養育者の方は、乳幼児期より「好きなこと」を探して頂きたいです。遊びや余暇は、当事者が人生を歩み上で有意義な時間となります。

5. 知的障害の概念や社会性

5-1. 軽度な知的障害に該当するケース

文字は読めるけど、内容の読み取りが得意でない

軽度知的障害の子供は、個々の知的能力に応じて、平仮名や漢字の読み書きを習得できます。ただし、読み取りが不正確であったり、要点を文章にまとめることは不得意です。

計算は、計算の処理が早くないだけでなく、暗算を苦手とするケースがあります。

金銭は、硬貨や紙幣に示されている数を、数量として扱えない場合があります。

規則は知っているが、正確に沿えない

社会的なルールや規則は、文面として読み取れるだけでなく、理解できます。一方、ルールが適応される場面に遭遇すると、適切でない言動を取ることがあります。又、軽度な知的障害の児童は、自尊感情の低下から、社会規範となる行動が乏しくなるケースもあります。

5-2. 中等度な知的障害に該当するケース

平仮名の読み書きをできる児童がいる

中等度な知的障害の児童は、マッチングの学習を積み重ねて、たどたどしさを残しつつも平仮名が読めたり、視写をおこなえる場合があります。

数は1~10までの数詞を連続して唱えられる児童もいて、物を数える機会等で活用できます。数の大きさを意味する数量概念は、理解が難しいかもしれません。

移動における信号機の理解や、自宅から学校までの順路、一人での登下校等は、適切な学びを経て習得できるお子さんがいます。

大人から声掛けを受ければ、理解できる範囲で約束事に従える

「静かにしましょう」「並びましょう」「走らない」等の簡単な約束事を、状況に応じて判断することは難しいです。ただし、中度知的障害の子供は、大人の言葉掛けを受けて静かにしたり、周囲の様子に倣うことは習得可能です。

6. 関連ページ

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