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進路相談 各学校の特徴や保護者の役割り

多くはないが、高校以外の選択肢がある

義務教育後の進路に関して、大半の生徒が進学を選択し、そのほとんどが高等学校を占めています。

一方、高等専門学校や専修学校高等課程等へ進む生徒も存在し、各々が将来なりたい職業の基盤を学校生活で築いています。

又、通信制高校在籍の生徒に向けては、サテライト施設等が設けられており、直接の学びが実現できるよう配慮されています。

それでは、各学校の特徴や卒業・修了後の進路はどうなっているのでしょうか。

1. 義務教育後の進路選択

義務教育後の進路

高等学校

高等専門学校

専修学校(高等課程・一般課程)

高等学校等を卒業後の進路

大学

短期大学

専修学校(専門課程)

1-1. 義務教育卒業後の進路状況

高等学校(全日制):1,067,476人

高等学校(定時制):20,696人

高等学校(通信制):29,025人

高等学校 別科:2人

高等専門学校:10,452人

専修学校(高等課程):2,413人

専修学校(一般課程):799人

公共職業能力開発施設等:311人

就職者:2,514人

不詳・死亡の者:116人

上記以外の者:7,336人

※義務教育卒業者数は、平成30年度の統計より(中学校+義務教育学校+中等教育学校前期課程)

2. 高校や高等専門学校、専修学校等の特徴

2-1. 高等学校(高校)

目的:中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施します。

入学資格:中学校卒業者。

学科:普通、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉、総合、その他。

※一部の高等学校には、高等学校卒業者等を対象とした「専攻科」があります。目的は、専門教育の深化等です。

平成30年:国立高等学校数15校、公立高等学校数3,559校、私立高等学校数1,323校

平成30年:高等学校総生徒数3,235,661人

全日制課程通常の過程、修業年限3年

平成30年:国立全日制課程15校、公立全日制課程2,947校、私立全日制課程1,296校

平成30年:全日制課程総生徒数3,150,378人

定時制課程夜間、その他特別の時間、又は時期において授業を行う課程、修業年限3年以上

平成30年:公立定時制課程163校、私立定時制課程4校

平成30年:定時制課程総生徒数85,283人

全日制・定時制併設 

平成30年:公立全日制・定時制併設449校、私立全日制・定時制併設23校

通信制課程:通信による教育を行う課程、修業年限3年以上

添削指導(レポート等)と面接指導(各科目と総合的な学習の時間の面接指導、特別活動)を中心とし、学習時間や時期、学ぶ方法等を選択できます。

平成30年:通信制課程独立校110校、通信制課程併設校142校

平成30年:通信制課程総生徒数186,502人

平成30年:協力校数341校(公立166校、私立175校)

2-1-1. サテライト施設等とは

広域通信制高校は、生徒・保護者のニーズに沿う理由から「サテライト施設」を運営したり、技能教育施設・民間施設との提携等をおこなっています。

自校の施設(575校): 広域通信制高校が自校の施設として設置し、添削指導・面接指導・試験をおこなっています。

協力校(215校):他の高等学校(中等教育学校の後期課程も含む)が、面接指導及び試験等に協力しています。

技能教育施設(210施設):現在は専修学校高等課程が中心となっており、広域通信制高校と技能提携し、技能教育をおこなっています。

サポート施設(1,234施設):実施校・設置者が認めている民間施設で、日常的な場として学習面や生活面等の多様なサポートをしています。

平成28年の実態調査より

2-1-2. 公立高等学校等の入学選抜における特別な配慮

特別な配慮が必要な場合は【在学する中学校】を通して、志願先に配慮を申請することが可能です。申請する際、書類等の様式や手順が異なります。詳細を知りたい方は、各都道府県「教育委員会」に問い合わせをするか、各都道府県「入学者選抜実施要項」で確認を取る手段があります。

配慮内容:別室受験、会場・座席位置の配慮、補助用具(補聴器、拡大鏡等)の使用、ヒヤリング試験での配慮・免除、時間延長、問題用紙・解答用紙の拡大、面接試験での話し方の配慮、保護者等の別室待機、机・椅子等の配慮、薬服用・インシュリン注射等の配慮、介助者等の同席、面接順番の配慮、指示・注意事項を文章で指示、集団面接を個人面接で実施、問題文の読み上げ、文房具の配慮、口述筆記、出題文の漢字にルビを振る等。

2-1-3. 高等学校卒業後の進路状況

高等学校卒業後の進路状況

2-2. 高等専門学校

目的:深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成します。一般科目と専門科目をくさび型に配当して、5年間一貫教育で、技術者(エンジニア)を養成しています。

入学資格:中学校卒業者。

学科:機械・材料系、電気・電子系、情報系、建設・建築系、科学・生物系、商船系、社会的ニーズ分野系、複合系。

教育課程:本科5年(商船学科は5年6ヶ月)、専攻科2年。

称号等:準学士。専攻科修了者は、審査を経て学士の取得が可能です。

編入等:3年次を修了すると大学・短大等に進学することが可能です。卒業した場合は大学への編入学が可能です。

平成30年:国立高等専門学校数51校、公立高等専門学校数3校、私立高等専門学校数3校

※国立は全て寮完備。

平成30年:高等専門学校総学生数57,467人

2-2-1. 高等専門学校卒業後の進路状況

高等専門学校卒業後の進路状況

2-3. 専修学校

目的:職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ります。実践的な職業教育、専門的な技術教育をおこなう教育機関として、多岐分野のスペシャリストを育成します。入学資格の違いより【3つの教育課程】があります。

分野:工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養。

専修学校専門課程(1年制~4年制)※一般的には【専門学校】と呼ばれています。

入学資格:高等学校卒業者、3年生の高等専修学校卒業者。

称号等:専門士(修業2年以上で62単位以上)、高度専門士(修業4年以上で124単位以上)。

編入等:修業2年以上で62単位以上の学校を修了すると、大学へ編入学することが可能です。修業4年以上で124単位以上の学校を修了すると、大学院入学資格が得られます。

平成30年:国立専修学校数9校、公立専修学校数1,865校、私立専修学校数2,610校

平成30年:専修学校専門課程総生徒数588,315人

 専修学校高等課程(1年制~3年制)※一般的には【高等専修学校】と呼ばれています。

入学資格:中学校卒業者

進学等:3年制を修了すると専修学校専門課程に進学することが可能です。修業3年以上で74単位以上の学校を修了すると大学・短大等に進学することが可能です。

平成30年:国立専修学校数1校、公立専修学校数6校、私立専修学校数405校

平成30年:専修学校高等課程総生徒数36,278人

専修学校一般課程

入学資格:特になし

平成28年:専修学校数157校

平成30年:専修学校一般課程総生徒数28,539人

2-4. 大学

目的:学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させます。

入学資格:高等学校、中等教育学校を卒業した者。特別支援学校高等部、高等専門学校3年次、専修学校高等課程を修了した者。高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格した者。その他等。

学科:人文科学、社会科学、理学、工学、農学、保健、商船、家政、教育、芸術、その他。

称号等:学士。

平成30年:国立大学数86校、公立大学数93校、私立大学数603校

平成30年:大学総学生数2,909,159人

2-5. 短期大学

目的:大学と同様です。

入学資格:大学と同様です。

学科:人文、社会、教養、工業、農業、保健、家政、教育、芸術、その他。

称号等:短期大学士。

編入学:卒業した場合は大学への編入学が可能です。

平成30年:公立短期大学数17校、私立短期大学数314校

平成30年:短期大学総学生数119,035人

3. 障害学生の大学等在籍状況

近年、障害等を抱える方の進学者数は、確実に増加しています。ここでは、大学等の在籍者者数や卒業時の進路状況を抜粋してあります。

3-1. 障害種別ごとの在籍者数

大学、短期大学、高等専門学校における障害学生の在籍者数:21,721人

※データは、独立行政法人日本学生支援機構が平成27年に調査したものです。

※障害学生とは「各種手帳の保持者」「診断等で障害が明らかになった学生」の数から集計しています。

視覚障害:775人

聴覚言語障害:1,737人

肢体不自由:2,546

重複:374

病弱・虚弱:6,462

発達障害:3,442人

精神障害:5,889

その他の障害:516人

3-2. 学校種別ごとの在籍者数

障害学生数

大学:19,591人(全在籍数の0.66%)

短期大学:1,246人(全在籍数の0.83%)

高等専門学校:884人(全在籍数の1.54%)

支援障害学生数

大学:10,554人(全障害学生数の53.9%)

短期大学:525人(全障害学生数の42.1%)

高等専門学校:428人(全障害学生数の48.4%)

※「支援障害学生数」とは、学校に支援の申し出があり、かつ、何らかの支援を受けている者です。

障害学生在籍学校数

大学:650校(全学校数の83.1%)

短期大学:177校(全学校数の51.6%)

高等専門学校:53校(全学校数の93.0%)

支援障害学生在籍学校数

大学:583校(全学校数の74.6%)

短期大学:126校(全学校数の36.7%)

高等専門学校:48校(全学校数の84.25%)

3-3. 各学校における支援の実施内容

授業支援:教室内座席配慮、配慮依頼文章の配布、実技・実習配慮、学習指導、履修支援等

授業以外:カウンセリング、休憩室・治療室等の確保、対人関係配慮、自己管理指導、居場所の確保等

3-4. 大学、短期大学、高等専門学校卒業後の進路状況

最高年次在籍障害学生数:4,608

(通学制の最高年次に在籍していた数)

卒業した学生数:2,930

(最高年次在籍数の63.6%)

進学者数:349人

(卒業学生数の11.9%)

就職者数:1,477人

(卒業学生数の50.4%)

その他:1,104人

(卒業学生数の37.7%)

4. 進路選択時の児童心理

やりたいことはあるけど、ダメと言われそうで話せない

やりたいことが沢山あって、今は決められない

勉強するのは嫌だけど、学校に行かないのも不安だ

成績が良くないから、進路なんてどうでもいい

上記は、進路を迎えた中学生達の言葉で、本人なりに悩み、友達等に相談しているケースも多いです。明確な方向性を持っていれば進路は決めやすく、当事者の「思い」をくみ取れますが、実際の選択は簡単に決定できません。

曖昧さの要因

当事者の視点に立つと、大人に近い価値観を持つ一方で、まだ未成熟な点が多いです。

大人は、進学・就職の経験しているので、その経験に基づいて進路選択を判断できます。一方、児童は、自分が知っている情報から推測するしかできません。情報の質・幅は、友達との会話やインターネット等から入手した限られたもので、結果として進路選択に曖昧さが含まれます。

進路選択を迫られる彼らは、思春期に該当し、価値観が変わることよって成熟する一面を持ち合わせています。ですので、途中過程での進路変更は、起こって当然です。

補足:昔は、職業選択を含めた進路だったので、選択肢がそれほど多くありませんでした。現代社会は、進学や職業選択の幅が広いだけでなく、中学卒業後の進路が将来の職業選択に直結しづらい状況です。

5. 進路選択時の相談相手

当事者にとって、保護者さんが身近な相談相手

中学生等の進路選択は、当事者が主体となり、保護者さんと相談して決めることが好ましいです。

当事者が進路を迷っている時は、少しずつ方向を定めたり、程よい励まし等から【その時点での答え】を決めて下さい。

進路について「分からない」が続いた時は、それも当事者の気持ちを表した答えです。肯定的に受け入れた上で、現状考えられる選択肢を提示して下さい。

もう一点、先程も書きましたが「価値観は変わる」という点も覚えておいて下さい。もしも進路希望が変わった時は、正しい正しくないの判断はせず、その選択を受け止めて下さい。

相談時、学費について話す

大学等への進学を希望する際、学費の問題やご家庭の事情等で、本人の希望する進路を叶えられない場合があります。その時は、現状をきちんと伝えて下さい。

解決策として、奨学金制度の利用が一般的です。それ以外にも、一度社会に出て学費を貯める選択があります。本人が、将来の職業を含めて明確な進路を持っている場合は、諦めずに長期の人生設計を考えるべきです。

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